【MHW】モンスターハンターワールド 感想

モンスターハンターワールド 感想

俺は導かれなかったよ



過去作からどう変わってしまい、切り捨てられていったのか。モンハンの面白さってなんだったのか。
自称プロハンがお話したいと思う。
非常にネガティブな記事になっているが、ご了承願いたい。


<はじめに>
正直に言って、私はモンスターハンターワールドを一通りプレイし、心の底から楽しめたとは言えなかった。

確かに、ストーリーに力が入っていてわかりやすく、世界への導入としてよく機能していた。
これまで不要と言われていた回復は便利になっていて、ゲームスピードが飛躍的に向上し、とてもプレイしやすかった。
クリアまでは面白いと遊べたし、未知のモンスターや過去対峙したモンスターとの再会も、感動的なものだった。マルチプレイでアホみたいなことで笑い合う場面も多く、楽しい時間だった。
何も虚無顔でこのゲームをプレイしていたわけではないから、そこだけは覚えておいて欲しい。

私はPS2で発売された初代モンスターハンターから、全ての作品をプレイしている。(ソシャゲとストーリーは除く)
モンハンには毎作、美麗なオープニングムービーが用意されている。大きな群れをなす草食動物、それを捕食するべく狩りを仕掛ける鳥竜種、更にそれを容易く仕留める飛竜、それを目の当たりにしたハンターは、狩りのために狩りに赴き、村の人々の助けを得、狩りに赴き、そしてまた新たな狩りへ足を踏み出す。
絶対的な食物連鎖の中に切り込んでいく、漠然としつつも、確かにそこに見える強大な敵と戦うんだ。という素晴らしい自己紹介になっている。
モンハンというゲームがこれほど我々の心に刺さり、概念付けた要素は、ただモンスターとハンターの戦いだけではないという、そのコンセプトだ。


<プロローグ>
主人公は新しい村へ歩を進める中、雪山でティガレックスと邂逅、為す術なく崖下へ落ちるハンターだったが、目的地の村人に助けられ、新しい自分の部屋で目を覚ます...。
MHP2のこの導入を覚えている人は多いだろう。
目が覚めてそうそう、村に放り出され、村人と交流し、目的を見出す。
極々自然にゲームがスタートできるようなデザインになっている。大それたプレイアブルムービーも、視点操作からアイテムの使い方まで丁寧にレクチャーしてくれるチュートリアルもない。(村長の声は聞こえないものとする)その世界に当たり前のように放り出される。私はこのデザインがとても好きだ。

それがどうだ。今作は洋ゲーよろしく「君の名は。」と問われ名前を入力し、長ったらしいムービーの末、謎のモンスターの背中を登らされ、新大陸に振り落とされたと思ったら、武器も持っていない状態で一本道を練り歩かされる。
そこから10数分、モンスターから隠れる等の基本アクションのチュートリアルが行われる。確かにここで武器を持った状態だと、隠れずにモンスターに斬りかかってしまうバカが出てきてしまい、SNSで「最初のボス強い(T_T)」と書かれてしまうかもしれないが。そんなバカは放っておけばいい。
目的地にたどり着こうかというところでまたカットシーン。アンチャーテッドか?

ゲームの体験とは、決して映画を見ることではなく、キャラクターを操り、そのキャラクターに自分自身がなれることにある。
能動的な体験こそが、ゲーム体験の真髄であり、エンターテイメントにおいて唯一無二の重要なファクターだ。

ゲームハードの性能向上に伴い、カットシーンとプレイアブルの境目を極力自然に体験させる競争のようになっていて、それに成功しているタイトルも数多いが、今作は残念ながらそれに失敗している。
結局のところ、主人公は声を発しないため、それ以外がプレイヤーの印象として強く残るわけだが、それにしてはストーリーや演出は弱い。ゴッドイーター程丁寧に語られて世界へ誘われれば事情は変わってくるだろうが。

ただ、フィールドへ繰り出した時の壮大さは忘れらないものになっている。
ベースキャンプからエリア1への移動は、モンハンにおいて重要項目であり、フィールドへの親近感を高めるものだ。
そのムービーを見、自然を目の当たりにすることで、ハンターはもう一度このゲームのコンセプトを思い出す。


<ストーリー>
プロローグの続きのお話になる。過去作のモンスターハンターは、村や拠点に降りかかる厄災を取り払うことが最終的な目標になる。
ここまでのストーリーテリングは素晴らしいもので、ハンターは粛々と狩りをこなしているだけで、ストーリーの大筋が理解できるようなデザインになっている。
緊急クエストをクリアすることでストーリーの大筋が、そのほかのクエスト(キークエスト等)をクリアすることで、村人のバックボーンや、村にやってきた人々の手助けをする。
最終クエストを受注する頃には、よそ者のハンターはすっかりその村のハンターになっている。
ラスボスへの思い入れも強くなる。本当にこの村を守るために、俺より強い奴を倒しにいく、と太刀を手に武者震いしたものだ。
プレイヤーの想像の範疇で行われる補完が、モンハンのストーリーでは重要だった。

しかしどうだ。今回は。
カットシーンの連続である。まぁそれは100歩譲って良いとする。
序盤にチョロッと出てきた奴が突然ラスボスの前に現れたりするのも受け入れよう。
でも一つだけ許せないポイントがある。
ラオシャンロンやシェンガオレン的なポジションのモンスターが登場するのだが、討伐の瞬間がカットシーンで描かれたのだ。
流石にコントローラーを投げそうになった。
討伐の瞬間ですよ。
いいところ全部持っていかれてしまったような感覚ですよ。
そろそろ討伐かな?とドキドキしながら大砲をエッホエッホと運んで、この仕打ちか。
このドキドキを返してほしい。
討伐の瞬間はカメラ思いっきり引いてそいつが倒れる様、逃げる様を見せればいいんだよ。
プレイヤーを世界にのめり込ませるという点では失敗している。「過去作と比べて」ストーリーに力が入っているのは事実だが、これはモンハンでなかったら「お粗末なストーリー」と言われただろう。


<武器>
各武器、アクションやエフェクトが派手になり、よりスタイリッシュな狩りが楽しめるようになった。

私は2から太刀を愛用しているが、太刀にも「兜割り」という、上空へ舞い上がり、地上のモンスターを斬りつけるという、たまらなくカッコ良いアクションが追加された。
多段ヒットのため、弱点部位に入れば大ダメージが多段になりめちゃくちゃ気持ちが良い。太刀を使う人の気持ちをよくわかってる。

攻撃のスピードが全体的に早くなっているが、武器を振るうだけは特に感覚に変わりはない、全体的なチューニングとして妥当だ。

しかしながら、過去作から何が変わったのかと問い詰めたくのが、狩猟笛と片手剣。
他の武器には最低1つは看板になるようなアクションが追加されている。
もちろん旋律のストックや抜刀状態でのスリンガーの使用など、若干の修正はあるが、他の武器と比べてアクションに華がなさすぎる。
狩猟笛は体験版の利用率が最下位だったそうだが、そりゃあそうだ。他の武器のハンターに「変な音がする」と言われる始末だ。
また、片手剣に至っては「初心者が扱いやすい武器」というコンセプトが消え去っている。
基本的なコンボではDPSは出にくく、闇雲に斬っているだけではただのお荷物になってしまった。というか、複雑なコンボでもDPSは出しにくい。
好きな武器が綺麗に描かれて嬉しい


<モンスター>
攻撃がかなり避けやすくなっている。
回避性能をつけなくてもフレーム回避が容易で、上級者であれば回避性能や耳栓等を付ける必要はなさそう。
このお陰で積極的にフレーム回避を狙う癖がつくため、スリルのあるアクションが楽しめる。
が、しかし、ガツンと殴ってくれるようなモンスターは少ない。
ナルガクルガの尻尾ビターンのような、一撃死レベルなのに予備動作少なめで発動してくる攻撃が少ない。一撃死が疎まれるのは理解できるが、後半になってもそのような攻撃をしてくれるのはネルギガンデくらいだった。
もちろん時間切れになりそうな程の戦いもなかった。G級グラビモスに残り数秒で勝つような体験はもうない。
歯ごたえのあるアクションゲームだったモンハンは、もうない。

具体的な話をするならば、ネルギガンデとオドガロンは戦っていて楽しいモンスターだった。
ハンターの間合いを詰める距離と、モンスターの動く位置が見事にマッチしているモンスターはやはり楽しい。
アクションゲームをしている感じがする。
レウスの羽、透け具合が良い


<フィールド>
あまりにも複雑で、クリアまでにカンペキに覚えることはできていなかった。
しかしよく見てみると、主要エリアのアクセスはしやすく、それぞれの導線としてはわかりやすく機能している。

またそれをガイドする導虫も優秀だ。便利な上に、世界観にとても合っている。
しかしながらその導虫を闇雲に追いかけるばかり、モンスター自体の動きに注目しなかったり、ベースキャンプの移動を意識できない、マップを覚えにくい、等の弊害もあるように感じる。難しいところではある。

グラフィックとしては綺麗で、各フィールドのエリアごとにしっかりと個性があり、同じフィールドでも様々な顔が見え、楽しい。
また時間経過で明るさが変わったり、天候の変化も良いスパイスになっている。
狩りの最中、ふと空に目をやると、綺麗な夕焼けが目に映り、世界が生きていることを実感する。

モンスターとの関わりはよくできている。
不用意に近づいたり攻撃しなければ、原則としてモンスターはこちらを襲ってこない。
モンスターにとってハンター、所詮ちっぽけな人型の動物でしかないのだ。
また、同時に3体のモンスターが出現することによって、三つ巴の戦いが繰り広げられる。
同じクエストでも、狩りごとにそれぞれのドラマが生まれる。
本当にPVのような状況になることが何度もあり、プレイしていて楽しい。

複数のモンスターが集まると、すぐにこやし玉を投げがちだが、意外にもモンスター同士の殴り合いで削り合ってくれるから、隠れて観察したりも面白い。

ただ、「狩りの休息」が失われがちだ。モンスターの逃亡した時のアレだ。
モンスターの逃亡は過去作でもあったが、逃げると皆武器をおさめ、研いだり回復したりする大事な休息の時間だった。
これがあることによってテンポ感が生まれ、中だるみがしないようになっている。
今作はこれが起きにくく、ひたすら殴る時間が主になってしまうのは考えものだ。

また、今作はスタミナの管理が面倒だ。
高低差が最初に導入された4では、スタミナの仕様に感心したものだ。
4では段差を登る時のちょっとした間や、ジャンプで降りる滞空時間は、スタミナが回復する。これにより歩いて回復したりするようなことが減っていたのだ。
今作ではそれが薄く、気付いたらスタミナが切れていることもしばしば。
もういっそ、納刀状態ではスタミナという概念を無くせばいいとすら思った。


<マルチプレイ>
これには一番がっかりさせられた。
今作から報酬金が人数で頭割りされるようになってしまったのだ。
4人で行けば報酬は4分の1である。ガンナーで行くと赤字になりかねない。お金のやりくりをするようなゲームではなかったはずだが。
換金アイテムがドロップする装衣を纏ってイベクエで金策?ソシャゲか?
それでいて、モンスターの体力は2倍以上に跳ね上がる。2人で行くメリットは、オトモがいる程度でほぼ無し。
過去作でいう緊急クエストを複数人で行けるように、また、人数分クリアしなくてもよくなったのは良いかもしれないが。複数人でやるメリットがなさすぎる。

恐らく、ソロだと難しすぎるようなことがないようにしたんだろう。
しかし違う、違うんだよ。ソロで到底クリアできないようなクエストこそ、ソロで燃えるんだよ。
過去作だとマルチのメリットが大きすぎる?いいんだよ!マルチなんだから!人的資源を割いてんだから!

この仕様なために、私は永遠にソロに引きこもっている。(もちろん仲の良い友人と一通りプレイはした)
ところで、ソロのほうがモンスターが俺だけを見てくれるから楽だと思うんだけど、どう????

また集会エリアというシステムにも難ありだ。
あそこに16人も人が集まっているところを見たことがない。集まる必要もない。
まともなジェスチャーコミュニケーションを取ったのは闘技大会を野良で行った時くらいだ。
またチャットシステムも最悪だ。1行より長い文章は1行にカットされて送信されてしまう。なんで3DSと同じ仕様にした?
まともな長文も入力できやしない。
また集会所の名前を自由に設定することもできない。なんで3から退化する?
自身の状態を示すアイコンシステムもない。オンラインゲームではないが、オンラインが主軸になりえる、マルチプレイが強いゲームなのになんで力を入れないのか。
サークル機能だって、結局身内が集まってワラワラするだけのもので、プレイヤー間の広がりは皆無だ。何一つない。
マルチプレイを推してないのかとすら思う。
友人曰く「モンハンはコミュニケーションツールとして楽しい」と言っていた。P2Gが大ヒットした理由にも通じるが、それをオンラインで行うことができないのはあまりにも致命的である。


<総括>
恐らく、私がやりこんだ2やPシリーズの頃のシステムで新作を出しても、売れないんだろう。
実際、今作はワールドワイドで同時発売され、十分成功と言える。チャットで英語やハングルが見えると、モンハンを外人とやってるという事実に思わず笑顔になる。
結局のところ、私が如何にガラパゴスで、懐古主義者だったんだろうと思い知らされた。
結局みんなが楽しいと思っているものに、私はついていけていない。

過去、私がモンハンを好んでいた理由は、
・敵が強く
・それでいてこちらの動きは鈍く
・アイテムの使用等にはリスクが付きまとう
という要素からなるアクションだった。
常に危険と隣合わせで、いつ死ぬかわからない。そんな中で少ない隙を付き、斬り込むのは楽しいし、その中で飲むガッツポーズ付きの回復薬はより美味しいのだ。

リスクが消え去ったモンハンに残ったのは、土が飛び散っているようなエフェクトの中で、無双シリーズもビックリなスピードで殴り続ける超人ハンターだ。
虚無である。とてつもなく快適になっているのは事実だけれども、私の中のモンハンは死んでしまった。


国内外問わず、メタスコアや評判が高いため、あえてこのお話をネットの海に放させて頂く。ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
匿名ですので、ご意見、批判等、コメント等頂けると嬉しいです。

岡野

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